以前「アベフトシのギターのスペックを考察してみた[テレキャスターカスタム][ミッシェルガンエレファント]」という記事を投稿しましたが、それを踏まえて、実はアベフトシのテレキャスターカスタムのスペックをもとにしたテレキャスターカスタムを自作してました。
2018年12月ごろから構想を練り始めて、2019年8月ごろに完成したので、だいぶ発表するのが遅くなりましたが、いわゆるコンポーネントギターを自作した記録を残しておきます。
- その1(ボディとネック、ピックガードの調達)
- その2(ボディ、ネックの塗装とピックガードの穴あけ)
- その3(ボディとピックガードのシールディング)
- その4(ピックアップとポットとコンデンサーをハンダ付け)
- その5(ペグの取り付け、ストラップピン穴あけ、ネックの取り付け)
- その6(ブリッジの取り付けと配線、ピックガードの取り付け)
ギターパーツ一覧
とりあえず今回使用したギターのパーツを一覧で載せておきます。
ちなみに制作意図としては、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT アベフトシの4号機を目指し、パーツは前記事に書いてあるものを主に使用して製作しました。しかしながら、自分の好みによりあえて変えた部分もあります。
主な変更点
- 赤べっ甲ピックガードではなく、茶べっ甲ピックガードに変更。
- ジャックプレートをFender Telecaster Jack Ferrulesではなくエレクトロソケットに変更。
- コンデンサーをスプラグのコンデンサーに変更。
変更の理由は、ピックガードについてはただ単純に赤色がそんなに好きじゃないから、ジャックプレートについては壊れやすくL字のプラグが挿しにくいから、コンデンサーはたまたま手持ちにあったからです。
これらの変更くらいなら、あとあと4号機と同じビジュアルにしたくなっても、変更は可能です。
ここからは制作記録になります。
ボディとネックの調達
まずはボディとネックですが、材からボディやネックを削り出したりザグリをいれたりトラスロッドを埋め込んだりはできませんので、加工済みのボディとネックを調達します。
加工済ボディやネックを販売している会社は、日本にも海外にもたくさんあります。特にアメリカには有名な会社がたくさんあります。僕は下記のの3社のどこかでオーダーをしようと考えました。
- Warmoth(ワーモス)
- USA Custom Guitar(USACG)
- Musikraft(ミュージクラフト)
この3社を選択した要因はネットでの評判がよかったことと、テレキャスターカスタムのボディが作成可能だったことです。
どこの会社にオーダーするかは、アベフトシテレキャスターカスタムモデルのキモである、ボディの「トグルスイッチのザグリ不要」のオーダーに応えてくれるかどうかで決まると思っていました。
しかし、どこの会社に問い合わせても機械にプログラミングして材を削っているため、特別なオーダーが受けられないとのことでした。こだわりたい部分ではありましたが、トグルスイッチのザグリはピックガードで隠れますので、許せる範囲ではあります。
「トグルスイッチのザグリ不要」の特別オーダーが対応不可ということであれば、ネックのスペックや良し悪しでオーダーする会社を決めます。というのも、ボディに関しては値段の違いはあるにしても、作りも出来も違いはそれほどないと思いますが、ネックに関してはどの会社も微妙なスペックの違いがあります。
Warmoth(ワーモス)
まずワーモスですが、ワーモスには大別すると「モダンコストラクション」、「ヴィンテージモダンコンストラクション」、「ヴィンテージコンストラクション」の3種類のネックがあります。
「モダンコストラクション」、「ヴィンテージモダンコンストラクション」だと指板R(7.25″)が選択できません。また、「ヴィンテージモダンコンストラクション」を選択すると2ピースなのにスカンクストライプが入ってしまいます。
アベフトシテレキャスターカスタムを目指すのであれば、「ヴィンテージコンストラクション」一択なのですが、「ヴィンテージコンストラクション」にはひとつ許容できない点がありました。それはトラスロッド調整がボディ側にあること。つまりトラスロッドがヘッドアジャストタイプではなくエンドアジャストタイプなんです。これでは見た目的にもだいぶ変わってしまいます。
また、ワーモスではパール貝の輸出不可なので、インレイドットもMother of pearlが選択できません。
USA Custom Guitar(USACG)
続いてUSACGですが、USACGの解せないポイントは指板です。この時期CITES(ワシントン条約)によりローズウッドの輸出入が規制されていました。これはだいぶマイナスポイントです。指板は音色にもかかわります。(聴き比べてもわからんけど)
Musikraft(ミュージクラフト)
最後ミュージクラフトですが、ミュージクラフトもまたローズウッドの輸出が不可でした。そしてトラスロッドですが、ヘッドアジャストタイプとエンドアジャストタイプが選択できましたが、ヘッドアジャストを選択するともれなくトラスロッドがダブルアクションになってしまいます。アベフトシはもちろんトラディッショナルなシングルアクションだろ。(おそらく)
こんな感じでどれも一長一短、あちらを立てればこちらが立たず的な状況です。
だいぶ悩みましたが、USACGを選択しました。
ボディとネックのスペック
こちらがUSACGの注文表(スペック表)です。
Type : T-Deluxe
Description : Swamp Ash (nice grain) / 1.750 thickness / Top Rout / Square Neck Pocket / 3/16 Edge Radius / S x X x H / Vintage Tele Flat Bridge / 7/8 Side Jack
Type : US-1
Description : Quartersawn Maple/Pau Ferro (Dark as possible) / Top Adjust / Square Heel / 1.650 Nut Width / Curved Nut Slot / 21 x 6230 / .840 SSV / 7.25 Radius / MOP Face and Side Dots / Gotoh Ream / Drill Mounting Holes
結局、指板についてはパーフェローを選択しました。ボディ材はスワンプアッシュを選択したが、本物はホワイトアッシュ系かと思います。
USACGから届いたボディとネックはとても満足のいくものでした。ですが、注文から到着までいろいろありました。というのもオーダーがうまく通っていなかったのです。
これは僕にも少し責任があるけど、大半は向こうのせいだと思っています。結果、オーダーミスのボディを半額で買取し、正式のオーダー品とあわせて2つのボディを手に入れるはめになりました。半額で買い取ったボディはそれ以上の値段で売れたからいいんだけどね。
ピックガード調達
続いてピックガード調達ですが、アベフトシテレキャスターカスタムに合うピックガードを探すのにはだいぶ苦労しました。
既製品はNG
まず既製品では駄目です。既製品ではピックアップセレクター(トグルスイッチ)の穴が空いた状態で販売されています。
アベフトシテレキャスターカスタムモデルはトグルスイッチがトーンの場所にあるので、穴は空いていては駄目です。後から塞ぐこともできないので、微妙なオーダーを受けてくれるお店でオーダーするしかありません。
べっ甲の模様
べっ甲と一口に言っても、模様は様々です。
テレキャスターカスタムではピックガードが占める割合が高いので、ピックガードによってギターの印象をだいぶ左右します。「べっ甲だからこれでいいや」という注文の仕方はできません。画像を見て、配色や色味が自分のイメージと合うか見極めていかなければいけません。
1プライで大きいべっ甲がない
そもそも1プライ(単板)べっ甲ピックガードがあまり売っていません。
アベフトシテレキャスターカスタムといえば、1プライのべっ甲ピックガードなのですが、その素材を取り扱う店を探すのに苦労しました。
1プライのべっ甲ピックガード材を取り扱っていたとしても、厚さが薄いものだったり、アコギのピックガードのようにサイズの小さいものが大半でした。テレキャスターカスタムに使えるような、1プライなのに大きくて厚いピックガード材はあまりないようです。
細かなオーダー
アベフトシテレキャスターカスタムは、トーンの位置にミニトグルスイッチがくるので、4つのコントロール部分の穴の経のうち1つだけ経が違います。
それを説明するのも面倒だったので、4つ穴については自分で穴開けをしようと決めました。なので、お店にはフロントピックアップの穴とネジ穴だけ開けてもらって、トグルスイッチの(通常の位置の)穴は空けない、コントロールの4つ穴も空けない、そしてエッジのベベル処理もしなくていいという細かなオーダーを通さないといけませんでした。
そんなんでこれらの問題を解決する店を根気よく探しました。そしてなんとか見つけてオーダーしました。オーダーしたのはPickguradianというサイト。十分満足するピックガードでした。
前述しましたが、アベフトシ4号機は本来赤べっ甲のピックガードですが、自分の好みで茶べっ甲を選びました。この部分は3号機を参考にした、ということです。
海外メーカーへのオーダーについて
ボディやネック、ピックガードについて、選定から問い合わせ、注文まですべて英語でやりとりしました。英語がぜんぜんわからないので、Google翻訳にはたいへんお世話になりました。自分の言いたいことが伝わっているか不安でした。
メールをやり取りする際は、「日本に住む日本人です、英語が下手でごめんね」と毎回言っていました。対応してれた人たちは全員丁寧に対応してくれてた印象です。外国人にはルーズで適当で非を認めないという印象があり、大金のやりとりをして大丈夫か、騙されないかと不安でした。
オーダーミスがあったときは、さすがに焦りました、こちらのせいにされて有耶無耶になってしまわないかと。でも、忍耐強くこちらの言い分を聞いてくれて、結果半額で買い取らされたけど、他の選択肢もあったりして、向こうのできる範囲のことはしてくれたのかなと思います。
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