アベフトシのギターのスペックを考察してみた[テレキャスターカスタム][ミッシェルガンエレファント]

アベフトシのギターのスペックを調べたことがあったので、まとめておきます。

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アベフトシのギター

アベフトシのギターといえば、

  • 1号機、2号機 = テレキャスタータイプ
  • 3号機、4号機、5号機 = テレキャスター・カスタムタイプ

と、2種類のギターを使用しています。(テレキャスという大まかな括りで言えば1種類ですが。)

アベフトシ テレキャスターカスタム 1号機 2号機 3号機 4号機 5号機
アベフトシ 1号機~5号機

今回この記事でまとめるスペックはは、3~5号機のテレキャスター・カスタムタイプのものになります。

3~5号機までのスペックは、ボディの色の違いやピックガードの違い、あとは微々たるものです。

考察の前提として

アベフトシのギターは松下工房製のオーダーメイド品であるため、詳細なスペックは不明です。

ただ、アベフトシのムック本や松下工房のサイト等でところどころ明らかになっていることもあります。

また、これまでの写真や動画を見て判断することもできますし、アベのインタビュー等で語られたものから特定・推察することもできます。

なので、わかることは調べて、わからないところは推測していきます。

特に、テレキャスター・カスタムということで、フェンダーのヴィンテージテレキャスターを踏襲していると思われますので、わからない箇所はその辺も加味して推測していきます。

スペック

ボディ

テレキャスターカスタム ボディ ザグリ

まずはボディのスペック。こんな感じでしょう。

  • ボディ材:アッシュ
  • ボディ厚:45mm
  • ネックポケット:スクエアヒール
  • ボディエッジのR:3/16インチ(4.77mm)R
  • ジャック穴:7/8インチ(22.23mm)
  • フィニッシュ:オールラッカー

ボディ材

ボディは松下工房が製作しています。

材がアッシュだという事は、いろいろな媒体でアベ本人が語っています。松下工房のサイトにも、「超重量級」、「レスポールくらい重たい」、「目の詰まった材」と形容されています。

ボディ厚

ボディシェイプはよくあるテレキャスターに準じていると思われる。

松下工房のサイトではボディ厚45mmと記載があります。通常のテレキャスのボディ厚は1.750インチ(=44.45mm)なので、平均的なサイズです。

ボディエッジのR、ジャック穴

写真で確認する限り、ボディエッジのR:3/16インチ(4.77mm)R、ジャック穴:7/8インチ(22.23mm)も間違いだろう。どちらもテレキャスの標準スペックです。

ただ、アベはボディエッジをあまり丸くしたくないという強い拘りがあったようです。ただでさえテレキャスはエッジが尖っているのに、さらに尖らせている可能性があります。写真からはなかなか判別がつきませんが。

フィニッシュ

フィニッシュはオールラッカーです。3号機がナチュラルで、4、5号機がブラックです。

松下工房のサイトによると、ウッドフィラーで導管の目止めをし、サンディングシーラーで下地、ラッカー(ブラック)、ラッカー(クリアー)てな感じで処理しているようです。

その他

ボディの話で言えば、通常のテレキャスターカスタムと違って、ピックアップセレクターのザグリがありません。ピックアップセレクターがリアトーンの場所にあるので、通常のセレクターの場所のザグリが必要ないのです。

テレキャスターカスタム ボディ ザグリ
この画像は拾いもんだが、こんな感じでPUセレクターがない

ネック

テレキャスター ネック ヘッド

続いてネックについてです。あらかたこんな感じかと思います。

  • ネック材:メイプル(柾目)
  • フィニッシュ:オールラッカー
  • シェイプ:薄めのVシェイプ
  • ネックスケール:25.5インチ(647.7mm)
  • 指板材:ローズウッド
  • 指板R:180R
  • 指板の貼り方:スラブボード貼り
  • フレット数:21フレット
  • フレット:6230タイプ。幅:2.03mm、高さ:0.94mm (.080″ × .037″)
  • ナット材:牛骨(白系)
  • ナット幅:1-5/8インチ(41.275mm)
  • ナットスロット:カーブドボトム
  • ポジションインレイ:パールドット
  • トラスロッド:ヘッドアジャストタイプ

ネック材

ネックも松下工房が製作しています。

ネック材は強度のあるハードメイプルで、なおかつ反りやネジれの起こりづらい安定した柾目材を使用しています。

フィニッシュ

フィニッシュは木目を生かしたナチュラル色のラッカーフィニッシュ。

松下工房のサイトによると、ナチュラル色は、Fender系の薄い飴色を狙って、クリアーのラッカーに赤、青、黄色の染料を混ぜて調色するそうです。

寸法

寸法としては、いわゆるFenderヴィンテージタイプのテレキャスターに近しい寸法を採用していると思われます。(スケール、指板R、ナット幅等)

松下工房のサイトでは指板Rは180Rと記載があります。ヴィンテージ系のテレキャスの指板Rは7.25インチ(=184mm)Rです。

これだけFenderヴィンテージよりであれば、ナット幅も狭めの1-5/8インチ(41.275mm)と推測できます。

ネックシェイプ

アベの拘りの強いネックシェイプは、薄めのVシェイプと随所に記載があります。

これは、ヴィンテージのFenderのようないわゆる三角ネック(ハードV)ではなく、クラプトンのようなソフトVシェイプだと連想できます。

ギターネックシェイプ Cシェイプ Vシェイプ Usheipu
参考:Warmothのネックグリップ

Vシェイプにすることにより、ネックが握りこみやすく、コード・カッティングがしやすくなります。

指板材

指板材がローズウッドだと言うことはアベ本人もよく語っていました。

また、画像で見ると、昔Fenderで採用されていたスラブボード貼りであることがわかります。

スラブボード ラウンドボード ネック 指板 fretboard
参考:スラブボードとラウンドボード

フレット

フレットは21フレットで、フレットサイズは幅2.03mm、高さ1.09mmであったことが、松下工房のサイトに書かれています。

2.03×1.09のフレットとなると、スモールヴィンテージな6230タイプ(.080″ × .037″)だとわかります。

フレット Jescar FW3708 8230 2.03×1.09 .080×.037
Jescar FW37080

また、フレットの素材はおそらく今どきなステンレスではなくニッケルシルバーだと推測できます。

ナット

サイトによるとナット材は牛骨とのことです。

画像で確認するに、漂白済の牛骨ナットかと思われます。無漂白でもオイル漬けでもないでしょう。

牛骨ナット 漂白済み 無漂白 オイル漬け
参考:牛骨ナット

ナット幅はヴィンテージらしく1-5/8インチ(41.275mm)と推測します。

ナットスロットもヴィンテージに多かったカーブボトムを採用しているようです。

ポジションマーク

ポジションマークはヴィンテージによくあるクレイドットではなく、パール(Mother of Pearl)のドットのインレイだと写真等で確認できます。キラキラしてますんで。

また、トラスロッドはヘッド側から調整するタイプだとわかります。

電装系統

ギター ポット 国産

次にピックアップなどの電装系統。

  • ピックアップ(フロント):Fender Wide Range Humbucker neck
  • ピックアップ(リア):Fender Original Vintage Telecaster bridge
  • コントロール:フロントボリューム、リアボリューム、マスタートーン
  • ボリュームポット(フロント):500kΩ・Bカーブ・国産
  • ボリュームポット(リア):250kΩ・Bカーブ・国産
  • トーンポット(マスター):500kΩ・Aカーブ・国産
  • セレクタースイッチ:ESP ミニトグルスイッチ ON-ON-ON (6pin) Nickel
  • コンデンサー:セラミックコンデンサー0.022μF
  • 配線:不明
  • ジャック:Switchcraft 11

ピックアップ

ピックアップは2つ。フロントは「Fender / Wide Range Humbucker」のネック用ハムバッカーPU。1970年代に製造されたリアルヴィンテージもの。

今手に入れるなら「Fender Wide Range Humbucker neck(Model #: 0054200049)」になりますが、なかなか日本では手に入りません。手にいれるならebayでしょう。

Fender Wide Range Humbucker neck(Model #: 0054200049)

リア側のピックアップは「Fender Original Vintage Telecaster」のリア用シングルPU。これぞテレキャスといったサウンドのする超人気ピックアップです。

日本では、「Fender Original Vintage Telecaster Set(Model #: 0992119000)」としてフロントPU・リアPUがセットで販売されています。

だけど、海外では下の名前で各々別々に販売されています。(Fender社に確認済み。)

  • フロントPU:Fender Vintage Reissue ’62 Telecaster Neck Pickup(Model #: 0056074000)
  • リアPU:Fender American Vintage ’52 Telecaster Bridge Pickup(Model #: 0053782000)
Fender Original Vintage Telecaster Set

コントロール類

コントロール類は、フロントボリューム、リアボリューム、マスタートーンで、通常はリアトーンがある場所にPUセレクターが移動しています。これはアベモデルのテレカスのポイントでもあります。

松下工房によると、フロントのボリュームポットは500kΩでBカーブ、リアのボリュームポットは250kΩで、Bカーブ、トーンポットは500kΩでAカーブだそうです。

そして、すべてCTSではなく国産のものだそうです。ということは、16mm(16φ)ではなく、24mm(24φ)のものだと推測できます。

どこの(メーカーの)かまでは明らかにはなっていませんが、作っているところがだいたい絞れるでしょう。そして販売しているところは多数。例えば、FERNANDESの「500KB」、「250KB」、「500KA」が見た目はまったく一緒です。

500kΩ Bカーブ ボリュームポット 250kΩ Bカーブ トーンポット 500kΩ Aカーブ
FERNANDES 500KB、250KB、500KA

国内の工場で作っているポットを自分のメーカー名義で販売しているところはたくさんあると思います。

PUセレクター

そして、PUのセレクタースイッチについては、3号機と5号機はおそらく「ESP ミニトグルスイッチ ON-ON-ON (6pin) Nickel」だと思います。

ただ、4号機だけ、スイッチノブがシルバーではなく黒で、六角ナットではなく丸ナットです。(写真確認済み)、どこのものか調べてもわかりませんでした。

ちなみに「ESP ミニトグルスイッチ ON-ON-ON (6pin) Nickel」は「NKKスイッチズ」というメーカーの「M-2020L/B(ラージブッシング)」という製品と同じもの、つまりESPのこの商品はNKKスイッチズのOEM品です。

配線

キャビティ内の配線はどこにも資料がないので、わかりませんでした。

ですが、アベモデルを松下工房で作ってもらっていた人の配線はBELDENだったと記憶しています。レプリカのクロスワイヤーとか使っているかと思っていたんですけどね。

コンデンサー

トーンにつけるコンデンサーはこれまた資料がないのですが、松下工房に以前確認したところ、よくあるセラミックコンデンサーを使っていたとのことでした。容量は0.022μFとのことです。耐圧は不明。

ジャック

ジャックは写真から考察するに、スイッチクラフトのものでしょう。逆にこれ以外思いつかないです。

パーツ

続いてパーツについて。

不確実なところは、Fenderパーツ(あればPure Vintageシリーズ)でまとめました。

  • ペグ:シャーラー(3号機)、Gotoh(4号機)のロトマチックタイプ
  • ストリングガイド: Fender Pure Vintage String Tree Kit
  • ブリッジ:Fender 6-Saddle Vintage-style Telecaster Bridge Assembly
  • ピックガード:鼈甲(3号機、4号機)、パール(5号機)
  • コントロールノブ:ボリュームはソンブレロノブ、トーンはBillion Dollers スカルノブ
  • ネックプレート:Fender 4-Bolt Vintage-style Neck Plate (No Logo)
  • ジャックプレート:Fender Telecaster Jack Ferrules
  • ストラップピン:Fender Pure Vintage Strap Buttons
  • ストリングブッシュ:Fender Vintage style Telecaster String Ferrules
  • PGスクリュー:Fender Pickguard – Control Plate Mounting Screws
  • リアPUスクリュー:Fender Stratocaster – Telecaster Pickup Mounting Screws
  • ブリッジスクリュー:Fender Pure Vintage Strap Button Mounting Screws

ペグ

まずペグは、シルバーのロトマチックタイプを使用していることが画像、動画等から確認できます。

3号機はシャーラー製、4号機はゴトー製、5号機も写真で確認する限りおそらくゴトー製。

ゴトー製であれば、「SG381-07 L6 クローム」。これは完全復刻版でも使用されています。

シャーラー製ならおそらく「M6 mini NI (6L)」ではなかろうかと思います。

ストリングガイド

ストリングガイド(テンションピン)は、かもめ型でスペーサーがナイロン製なのが写真から確認できます。

ということで、「Fender Pure Vintage String Tree Kit(Model #: 0992083000)」だと推測できます。

ブリッジ

ブリッジはビンテージスタイルの6WAYサドルブリッジを使用しています。

今手に入れるのであれば、「Fender 6-Saddle Vintage-style Telecaster Bridge Assembly(Model #: 0990810000)」。

そして、ブリッジには松下工房が少し細工をしてます。

それは、ブリッジプレートの1弦側に穴を開け、サドルを固定するという方法。これでサドルが左右に動かず、チューニングが安定するし、強烈なピッキングに耐えるそうです。

アベフトシ ブリッジ サドル固定ネジ

ピックガード

ピックガードは松下工房製。3号機が茶鼈甲、4号機が赤鼈甲、5号機がホワイトパール。

1プライ(単板)で、エッジがベベル処理(面取り)されていないのが特徴です。

べっ甲ピックガード 比較 単板 1プライ

素材はアクリルです。鼈甲タイプに関しては単板なので、少し透けるくらいの材質です。ですが、ピックガードの裏全体にアルミシートを貼っていますので、キャビティが透けて見えることはありません。

ノブ

ボリュームノブはソンブレロノブ。

ソンブレロとは、つばの広い帽子のことだそうです。

ソンブレロノブ ソンブレロとは

Fenderから「’72 Telecaster Custom Knobs(Model #: 0054521049)」が販売されているますが、こちらはインチシャフト対応ですし、固定するためのネジが写真からは確認てきないので、これではないと推測しました。

安物ではありますが、簡単に手に入れるなら「SCUD / KS-260V」でしょう。

4号機と5号機のコントロールノブは「Billion Dollers スカルノブ」。アベモデルのポイントですね。

ビリオンダラーズ スカルノブ アベフトシ
Billion Dollers スカルノブ
Billion Dollers スカルノブ アベフトシ
Billion Dollers スカルノブ

ネックプレート

ネックプレートは、4点止めで刻印のないものを使用しています。

現行であれば、「Fender 4-Bolt Vintage-style Neck Plate (No Logo)(Model #: 0991447100)」です。

ジャックプレート

ジャックプレートは、昔ながらのいわゆるジャックカップタイプ。

ということは、「Fender Telecaster Jack Ferrules(Model #: 0991941000)」。

ストラップピン

ストラップピンはいかにもフェンダーな感じのやつを使っています。

ということで「Fender Pure Vintage Strap Buttons(Model #: 0994915000)」。

ストリングブッシュ

ストリングブッシュ(フェルール)も昔からテレキャスで使われている形のやつだと思われます。

「Fender Vintage Style Telecaster String Ferrules(Model #: 0994918000)

スクリュー(ネジ)

ネジに関してはおそらくこれだろうというものをFenderパーツの中から推測しました。

ピックガードを留めるためのネジは「Fender Pickguard – Control Plate Mounting Screws(Model #: 0994923000)」。#4 x 1/2″サイズの丸皿ネジ(+)。

リアのピックアップを固定する3本のネジは「Fender Stratocaster – Telecaster Pickup Mounting Screws (Model #: 0048631049)」。6-32 x 3/4″サイズの丸ネジ(+)。このネジはあまり日本では見かけないです。

ブリッジを固定するための4本のネジは「Fender / Pure Vintage Strap Button Mounting Screws(Model #: 0016188049)」。#6 x 1″ サイズの丸皿ネジ(+)。ストラップボタンネジという名称だけど、ブリッジ固定にも使われるネジです。

ブリッジの図にも書いてありますが、4本のうち低音弦側にある2本は丸皿ネジではなく皿ネジに変更してあるようです。

Fenderにはそんな形状でサイズのネジは探してもありませんでした。まぁ、ネジならFenderのじゃなくても別にどれでもいいかとは思います。

その他

その他でアベモデルについて特筆する部分や、アベモデルに関わることをまとめました。

  • 弦:SIT / 10-46
  • 弦高:1弦側1.1mm、6弦側1.7mm
  • ピックガード裏とボディのザグリは全てテープ式の専用アルミシートでシールディング。
  • リアピックアップにノイズ処理。
  • 愛用品:フィンガーイーズ、ロックストラップ

弦はSITの10-46のやつを使っているそうです。

昔はディーンマークレーの10-46のやつを使っていたみたいです。

弦高

弦高は1弦側1.1mm、6弦側1.7mmでかなり低くセッティングしていたみたいです。ナットもかなり深めに溝を切っていたので、ブリッジで弦高をかせいでいたそうです。

愛用品

アベのメンテナンス時、傍らにTONEのフィンガーイーズがあります。

アベフトシ フィンガーイーズ

毎回じゃないけど、ジムダンロップのストラップロックを使っている様を写真で見ることができます。

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