ドリフターズ知ってますか?
「志村、うしろ!うしろ!」じゃないですよ(古いか…)漫画のドリフターズです。
どんな漫画か簡単に言うと、「歴史×ファンタジー」という感じでしょうか。
戦国の武将・島津豊久という主人公がエルフとかドワーフとかゴブリンとかドラゴンとかいる(人間もいる)どこかよくわからない世界に送り込まれちゃう話です。
その世界には、主人公と同じように、織田信長や安倍晴明、源義経、土方歳三、ジャンヌダルクやアドルフ・ヒトラー、ハンニバルなどの日本史や世界史で勉強した歴史上の人物がいっぱい送り込まれてきていて、そいつらは「漂流者・漂流物(ドリフターズ)」か「廃棄物(エンズ)」かのどちらかで、現地の人間はそれを見極めて「ドリフのみなさん、エンズをやっつけてちょうだい!」とお願いするんですが、さすが歴史に名を残す人たちだけあってみんな我が強いし好き放題やっちゃうよって話です。
今は単行本が4巻まで出ていて今も連載中ですが、なぜこの世界にドリフターズやエンズが送り込まれているのか、送り込んでいる紫、EASYという人物は何者なのか、エンズを率いている黒王とは誰なのか、とか謎が多いし、コミカルなところもあるし、早く続きが読みたくなる漫画です。
この漫画ではよく合戦での戦い方とか武士の心得とか生き様みたいなのが出てきて勉強になるので、それをまとめてみたいと思います。
合戦における兵力
合戦においては兵力がものを言います。頭数が必要です。でもそんな使える兵を育てるのはとても時間がかかります。剣術や弓術などの技術も去ることながら、兵としての自信や覚悟なんかもすぐには養われません。
そこで昔の頭の良い人たちは考えました。どうやったらさっきまで農民だった男に勇敢に戦ってもらうかを。
剣はともかく槍が欲しい所だな
槍の長さは恐怖を薄れさせる
農兵でも三間半槍持てば武者を殺すわ
これは単行本2巻の織田信長の名言。三間半槍とは約6.4mの槍です。現実の信長は長槍の長さの常識だった一間半槍(約2.7m)から三間半槍に換えたそうです。
鍛錬などしていなかったエルフの村の者たちが国の正規兵と戦うには槍が欲しかったのでしょう。槍がもしあれば即、勇敢な兵のできあがりってことです。
武器の進化は鍛錬の簡素化にも繋がりました。これは単行本3巻でドワーフに銃を作ってもらう際に出た島津豊久と織田信長の名言。
銃火は鉄砲のときの声ぞ
お前を狙うちょるいう口上じゃ
そいに鉄砲は訓練が早か
昨日までん農民が翌日武者をば倒す
長い射程 高い威力
だが銃の真の利点はそれだけではない
殺す事と殺意と罪悪感の簡便化だ
なにせ引き金一つで誰でも簡単に兵になる
それは民が皆 兵になる事への道ぞ
銃ができて簡単に人が殺せるようになったことで、覚悟も準備も必要なくなり今まで農民だったような者でも一端の兵になります。兵力がほしい人にとっては思う壺ってわけです。
「ときの声」というのは「鬨の声」で、士気を鼓舞するために、多数の人が一緒に叫ぶ声だそうです。
銃や火薬の本質
銃や火薬ができたことで簡単に農民が兵になり殺傷能力も上がり良いことだらけですが、できる男はもうひとつ先まで考えています。単行本3巻の織田信長の名言。
火薬の最たる効果は身を焼く炎でも切り裂く破片でもない!!
音と光 衝撃と畏怖 恐慌!!
それは石火矢(たいほう)でも棒火矢でも鉄砲でもみな同じ
相手は火薬や銃の音や光を見るとビビります。これが火薬や銃の一番の効果。相手を怯ませます。それを戦術に加えた織田信長の名言(単行本3巻)。
銃(たねがしま)の本質は貫通(つらぬき)力でも射程でもない
銃の本質は恐怖!!
あの音と煙が上がると誰かが死ぬ
二射目でそれを理解(わか)る
そして一度それを理解(わか)ればもう前へは進めぬ!!
そして一度ひるんでしまって 足を止めてしまったら
武者が突っ込んできて 斬攪(ざんかく)する
頭の切れる織田信長
ここまで織田信長の名言が多いですね。うつけとか言われていますけど、頭の切れる人だったみたいです。ドリフターズでも戦術、戦略面において信長の頭脳が活躍します。
尊厳がなくとも飯が食えれば人は生きられる
飯がなくとも尊厳があれば人は耐えられる
だが両方なくなるともはやどうでもよくなる 何にでも頼る
散々おれが一向一揆にヤられた手じゃもの
国をかっぱらうには一番の手よ
これは単行本1巻で、エルフの村にはじめてドリフターズが行ったとき、麦畑に火を放っていった織田信長の名言。人間がどんな思考に陥るかをよくわかってらっしゃる。結果的にエルフの村の者たちはドリフの仲間になるというか戦に駆り立てられていきます。
次は、単行本2巻でジャンヌダルクとジルドレが軍を率いて攻めてきたとき、国王軍の騎馬に対しての織田信長が放った名言。
騎馬は超絶怖いですが 全然怖くありませーん
何を言ってるかわからねーとは思うが
突撃とか機動力で廻り込まれとか超こわい
でもこーいう森ん中に調子こいて追ってきて
足軽も随伴してないとかもー超こわくない
調子よくパカラってますが 木々に指向性させられたパカラですね
とまあ ちょいとした障害で止まっちまう
ハンパな数の騎馬で森ん中とか自殺です
俺も伊勢とかでエラい目にあいました ハイ射てい
高所を取ればもう勝ちです
頭使えば、簡単に兵をやっつけれちゃうんですね。織田信長すげー。
次は織田信長の名言の中で僕が一番好きな名言。単行本2巻での、島津豊久がなぜそんな楽しそうに悪だくみするのかと問うた時の織田信長の名言。
合戦そのものはそれまで積んだ事の帰結よ
合戦に到るまで何をするかが俺は戦だと思っとる
猿(秀吉)以外 本質は誰も理解せんかったがな
何か事を成すにはそれまで準備が大事だってことです。これはまさしく現代でも使える考え方です。サッカー日本代表の本田圭佑選手も「準備が全て」と言ってますもんね。
武士道が揺るがない島津豊久
主人公である妖怪「首おいてけ」こと島津豊久。いつもで相手大将の首を狙ってます。
単行本3巻で、安倍晴明に何が目的なのか?織田信長のように世界を変えることが目的かと聞かれたときの島津豊久の名言。
首級(くび)
寝てん覚めてん薩摩兵子(へご)は突っ走る事しか頭ん無かぞ
首しか狙ってません。
だけども、単行本3巻のジャンヌダルクを倒したのに殺さなかったことを安倍晴明に咎められたときの明言。
主らの法度など知らぬ 俺(おい)は女首は取らぬ
これが俺(おい)の法度じゃ
俺(わい)はあの通路ん男の駒では無か
俺(わい)らは人ぞ 俺らは俺らの理で疾風(はし)る
たとえ廃棄物(エンズ)だとしてもジャンヌダルクは女性です。武士にとって女首は手柄ではなく恥だそうです。どんな世界にいても武士道だけは譲れない感じがかっこいいです。
単行本4巻では、土方歳三に対して島津豊久のこの名言。
こい(これ)は合戦ぞ 首の掻き合いに道理なぞあらんど
使える手ぇば何でん叩っ込まねば 相手に申し訳ばなかど
首を獲ろうとしている相手にも敬意を払うのは矛盾してそうだけど、武士としては筋が通っているのでしょう。
殺してしまった相手にも敬意を払います。これは単行本2巻で、敵の死体で火薬を作る様をみた現地人オルミーヌに対して島津豊久が言った名言。
首は洗い整えて埋めてやった 人として供養してやった
こちらに手を合わせれば良か
糞小便が汚かと思うなら 俺もお前も腹ば切れば中は糞の詰まった肉袋ぞ
手を合わせ弔った首にではなく糞ば詰まった肉に人ん魂は宿るのか
理(ことわり)ば合わなかではないか
オルミーヌも言っていますが、武士の死生観は普通の人と違っていて、極まっているというか、憎い相手でも死ねば仏ですのでちゃんと弔えば、体は火薬の材料にしちゃっていいみたいです。
まとめ
最後に名言とはまったく関係ありませんが、織田信長のおちゃめな一面もお送りします。
その1
その2
その3
それでは。
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