「SSRI」とは「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)」の略語で、抗うつ薬の一種です。
SSRI
日本で流通しているSSRIの薬は4種類です。
パキシル
製薬メーカーはグラクソ・スミスクラインです。一般名は塩化パロキセチン水和物です。パキシルにはパキシル錠10mgとパキシル錠20mgがあります。効能・効果はうつ病・うつ状態、パニック障害、強迫性障害です。パキシルは日本で初めて「パニック障害」の効能・効果を取得しました。パキシルは欧米をはじめとして、世界の100ヵ国以上で承認され、1億人以上に使用されています。
デプロメール
製薬メーカーは明治製菓です。一般名はマレイン酸フルボキサミンです。デプロメールにはデプロメール錠25とデプロメール錠50があります。効能・効果はうつ病・うつ状態、強迫性障害、社会不安障害です。
ルボックス
製薬メーカーはアステラス製薬です。 一般名はマレイン酸フルボキサミンです。ルボックスにはルボックス錠25とルボックス錠50があります。効能・効果はうつ病・うつ状態、強迫性障害、社会不安障害です。デプロメールと成分は同一です。日本で初めて発売されたSSRIです。
ジェイゾロフト
製薬メーカーは米国ファイザー社です。一般名は塩酸セルトラリンです。ジェイゾロフトにはジェイゾロフト錠25mgとジェイゾロフト錠50mgがあります。効能・効果はうつ病・うつ状態、パニック障害です。ジェイゾロフトは世界110ヵ国で承認され、10年以上の使用経験を有するSSRIです。
SSRIはどのように人体に作用するか?
ヒトの脳にはニューロンと呼ばれる神経細胞があります。ニューロンは100億個以上あり、ネットワークを作って、脳内の情報伝達をしています。ニューロンにはシナプスという先端部をもっています。1個のニューロンには1万個以上のシナプスがあります。そのシナプスがクモの巣のように脳内に張り巡らされているので、神経細胞の情報は100兆通りのルートを取って伝達されていくのです。
脳内の情報はニューロンのシナプスから他のニューロンのシナプスに伝達されていくのですが、シナプス通しは直接つながってはいません。シナプスとシナプスの間には、わずかな隙間があります。この隙間をシナプス間隙と言います。それで、どうやって情報を伝達するかというと、シナプスが神経伝達物質という化学物質を放出して、別のシナプスにあるレセプター(受容体)が受け取ると仕組みになっています。
神経伝達物質とは、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどのことです。
セロトニンは神経伝達に一度使われると、再利用するためにもとのシナプスのセロトニントランスポーターというところに取り込まれて蓄積されます。「SSRI」はこのセロトニントランスポーターに選択的に作用して、セロトニンの取り込みを阻害します。取り込みを阻害することで、レセプターに長く留まらせて、結果脳内のセロトニン濃度を高い状態で維持できることになるのです。
なぜセロトニンが不足するといけないのか?
セロトニンが不足するとパニック発作が起きやすくなってしまいます。パニック発作を誘発するのは、ノルアドレナリンという神経伝達物質です。ノルアドレナリンは警報装置のような役割をしています。生命を維持するためには警報装置であるノルアドレナリンはかかせませんが、ちょっとしたことで警報装置が鳴っていては、警報装置の意味をなし得ません。そこで必要なのがセロトニンなのです。
セロトニンはノルアドレナリンにブレーキをかける役割を持っています。たとえ何かが起きても大した事でなければ、セトロニンがアドレナリンにストップをかけるのです。それによって、人はちょっとのことでは動じない平然とした心を持っていられるのです。しかし、セロトニンが少ないとノルアドレナリンを抑制できず、ちょっとしたことでもノルアドレナリンが警報を発するようになってしまいます。この誤報がパニック発作です。ですので、セロトニンが不足するとノルアドレナリンを抑制できず警報装置が鳴りやすくなり、結果パニック発作が起きやすくなってしまうのです。
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