精神交互作用

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ヒポコンドリー性基調」のお話の次は、「精神交互作用」のお話です。

「精神交互作用」とは、「自分にとって不都合な心身の弱点を取り除こうと努力すればするほど、逆にそこに注意が集中し、結果としては自分に不都合な症状を引き出してしまうこと」です。

例えば以前電車に乗った際にパニック発作を起こしたことのあるパニック障害の人が、「次は絶対に大丈夫だ。」と意を決して電車に乗った結果、またパニック発作を起こしてしまったとします。

この場合、この方は電車に乗る前から、「パニック発作が起きたらどうしよう」という「予期不安」があったわけです。

そして平常心でいようと思えば思うほど、「予期不安」は大きくなって、頭の中はそのことでいっぱいになり、焦りも出てきて、「やばい、どうしよう」と思うようになってきて、「耐えよう」だとか「気を紛らわせよう」とすればするほど、さらに「予期不安」は大きくなり、体調もどんどん悪くなってきて、ついにはパニック発作を起こしてしまう…。

こんな経験を皆さんもしているんじゃないでしょうか?

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精神交互作用という心理メカニズム

このような心理メカニズムを「精神交互作用」といって、パニック障害を含む神経症の方にはよくこの「精神交互作用」の悪循環にはまってしまうんですよね。

この「精神交互作用」もまた誰にでも起こることですし、日常生活の中でもいろんなところにこの「精神交互作用」が存在しているんです。

それなのに神経症の方だけが「精神交互作用」の悪循環にはまってしまうのは、いろいろな理由があると思うんですけど、自分の体験談を参考に少し挙げてみましょう。

「精神交互作用」に嵌る理由

不都合な心身の弱点を認めようとしない

まず1つ目に、自分にとって不都合な心身の弱点を認めようとしないということです。

これは例えば、電車に乗る時、不安があっても不安を認めようとしないんですよね。「大丈夫だ!」って自分に言い聞かしてしまう。

別に不安があってもいいし、大丈夫じゃなくてもいいんですけどね、どんな状態でも電車なんか乗れるわけですし。

それでも「大丈夫!」って心に言い聞かせてしまう。電車に乗ることへの不安を認めからといって不安が大きくなるわけじゃないんです。

逆に認めないことが「精神交互作用」により不安を大きくさせてしまうことを昔の僕は知らなかったんですよね。

誤った理想により「精神交互作用」を拒否してしまう

2つ目に、誤った理想により「精神交互作用」を拒否してしまうことです。

これは例えば、「電車ではビクビクしちゃいけない、電車なんかに不安がっていてはいけない」という考えが自分に起こる不安を拒否してしまうんですね。

別に電車に乗る時のルールで「電車ではビクビクしちゃいけない、電車に不安がっていてはいけない」なんてルールないですよね?

だけど、「こうでなくちゃいけないんだ、こうあるべきなんだ。」という誤った考え・理想を自分を押し付けてしまうのです。

だからその理想追求に邪魔なものはすべて排除してしまう。こんなガチガチのルールの中ではそりゃ苦しくもなるよって今なら思えるんですけどね、昔の僕はこのことをよくわかっていませんでした。

自分にだけ起きていると勘違いする

3つ目に、自分だけにこんなことが起こっていると思ってしまっていることです。

これはパニック障害を患うとどうしても自分だけがこんな苦しい思いをしている、なんて思ってしまうんですけど、パニック障害の症状って結局は誰にでもいつ何時でも起こりうる症状ばかりなんですよね。

実際に同じような症状がある人なんていっぱいいます。

だからパニック障害を患う方も、「こんな不安になるのは自分だけだ。こんな不安はあってはいけないものなんだ。」なんて思う必要はないし、不安を排除する必要もないんです。

完璧主義である、全か無か思考

4つ目に、完璧主義であること、「すべてか無か」で考えてしまうこと。

これは例えば電車でパニック発作が起こった人に、「次電車乗る時はビクビクするなよ、不安になるなよ」と言ったって無理なんですよ、絶対に不安になるのは目に見えています。

それなのに、これまた「大丈夫だ」と言って平生を保とうとします。

そんな最初から完璧を目指そうなんて思うことが自分にストレスを与えていることがわかってないんですね。

それで少しでもうまくいかないと「やっぱり無理だった…」って落ち込んでしまう。

だから最初からうまくやろうとしても無理なんですよ、逆に少しでも乗れたことを褒めないといけないのにね。

自分に100点か0点しかつけようとしない。そういう融通の利かなさがこれまた自分を窮屈にさせているんですけどね。

同じようなこと考えていませんか?

以上、昔の僕を思い出しながら書いてみました。

皆さんも僕と同じようなことを考えたりしてはいませんか?

このような考え方は少なからず「精神交互作用」の悪循環にはまる可能性を高めます。

この機会に少し自分の考え方、心のありかたを振り返ってみてはいかがでしょうか。

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